建設キャリアアップシステムと建退共

令和3年度から建設キャリアアップシステムと建設業退職金共済(建退共)の連携がスタートしました。これにより建退協制度を確実かつ容易に運用できるようになります。

そもそも建退共とは?

建退共制度は、建設現場で働く労働者のために、中小企業退職金共済法という法律に基づき創設されました。建設業界で働く労働者は日によって違う元請の現場で働いていたり、転職を繰り返すことが少なくありません。建退共制度では、違う元請の現場で働いていても制度に加入している元請の現場であれば働いた日数は通算され、建設業界を退職した時にまとめて退職金を受け取ることができます。

また、退職金は、国で定められた基準により計算されて確実に支払われることになっており、民間の退職金共済より安全かつ確実な制度です。

退職金制度を充実させることにより、将来建設業界を担っていく若手の労働者を確保し、より質の高い建設工事を実施することを目的としています。

建退共制度の問題点

これまでの制度では労働者は手帳の交付を受け、元請が購入した証紙を張り付けていくことによって退職金が加算されていくシステムでした。この方式ですと、労働者が手帳や証紙を紛失してしまうリスクがあります。また、元請が証紙の購入を怠ったために実際に労働者が働いた日数分証紙が貼られず、労働者に不利益が生じてしまうことがありました。

建設キャリアアップシステムと連携するメリット

建設キャリアアップシステムでは技能者が働いた就業履歴が蓄積されていきます。連携した場合元請は月に1回就業履歴をもとに掛金を支払い、技能者にポイントを付与することによって退職金を蓄積させていきます。これにより、手帳や証紙の管理や掛金出納帳の記入、証紙の購入などの煩雑な事務作業がなくなり、かつより正確な運用ができるようになります。

経審での運用

経審で加点の対象

建退共に加入していると経審の「その他の審査項目(社会性等)」に15点の加算になります。10年以上の実務経験がある技術者を採用した場合は1点の加算です。また、建設機械の保有で加算される点数も最大15点です。(建設機械を14台以上保有した場合)

建退共の15点がいかに大きいかお分かりいただけるかと思います。

経審の際の必要書類

その際加入していることの証明として「建退共加入履行証明」を提示する必要があります。

今までは加入さえしていれば証紙の購入、貼付を適切に行っていなくても加入履行証明は発行されていましたが、令和4年度から建退共の運用が変わり、適切に証紙の購入、貼付を行っていない事業者には加入履行証明が発行されないようになりました。

建設キャリアアップシステムとの連携

建設キャリアアップシステムと連携することにより証紙の購入、貼付等をしなくてもよくなり、適切な運用がやりやすくなります。

また、建設キャリアアップシステム自体も経審で加点の対象になっています。加点の対象となるためには技能者のレベルを上げることが必要ですが、そのためには就業日数の蓄積は必須です。

経審を受ける事業者の方はお早目の登録をご検討ください。

まとめ

建退共と建設キャリアアップシステムを連携させることにより事務手続きの負担が減り、より確実な運用ができるようになります。建退協に加入されている事業者の方は建設キャリアアップシステムの登録をすることでメリットがあります。

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