建設業界では社会保険の未加入率が高かったことが問題になったことがあり、建設キャリアアップシステムでは適切な保険加入を促すために技能者登録をする際に確認資料を添付して社会保険加入の有無を登録することになっています。
しかし、事業者さんによっては、様々な理由で社会保険に加入しておらず、確認資料が添付できない場合があります。そこで、今回は社会保険に未加入の技能者さんの技能者登録に関してご説明します。
正規雇用している従業員
事業者が会社である場合、正規雇用している従業員は社会保険は強制適用となっており、例外を除いて必ず加入する必要があります。そのため、通常は社会保険に加入しているはずですが、以下のようなケースがあります。
新入社員で社保加入が間に合わない
入社した直後は保険証の発行が間に合っていないため、保険証の添付ができません。保険の手続きを取ってから技能者登録の申請をするとカードの発行に時間がかかってしまいます。
現場に入るために1日でも早くカードが欲しいという場合は、所属先の事業者名は空欄にして先に技能者登録申請をしてしまうという方法があります。
そして、カードが発行されたら事業者との紐づけと保険の加入の有無の変更申請をしましょう。ただし、カードが発行されても、事業者と紐づけをしないと就業記録は蓄積されないので注意が必要です。
従業員が加入を拒否している
古くから働いている技能者の中には手取りのお給料が減るので社会保険に加入したくないという人がいます。こうした人の場合、技能者登録をしてカードを発行することはできますが、社会保険に加入していないことが後々問題になることが考えられます。
建設キャリアアップシステムでは、元請の事業者は下請の事業者に所属する技能者の保険の加入状況を確認することができます。
そのため、未加入のままで放置していると元請の事業者から悪質な業者だと判断される可能性もあり、最悪の場合カードがあるのに現場に入れない可能性もあります。
現場の入場規制の判断は元請の事業者に委ねられていますが、近年では国交省から社会保険に加入していない事業者を下請業者として選定しないように指針が出ていることから、現場に入れなくなるケースは今後増えていくことが予想されます。
アルバイトの従業員
労働時間の短いアルバイトは適用除外ということで社会保険未加入でもキャリアアップシステムに登録が可能です。ただし、事業者はアルバイトの従業員でも一定の労働時間を超えて勤務させる場合は社会保険に加入させる義務があります。アルバイトだからといって社会保険に加入させなくていいということではありませんのでご注意ください。
キャリアアップシステムに登録された技能者は労働時間が明確に記録されますので、社会保険に加入させずに違法な労働をさせていたことが明るみになる可能性がありますので、適切な加入が必要になります。
一人親方
一人親方の方は個人事業主ですので、社会保険、雇用保険の加入義務はありません。未加入のままでも全く問題ありません。法人成りした場合や一定数以上の従業員を雇用した場合に保険の加入が必要になります。
まとめ
社会保険の確認資料がない場合でも技能者登録をすることはできますが、適用除外の方を除き、加入しなければならない人が社会保険に加入していない場合は、後々問題になることが考えられます。適切に社会保険に加入してキャリアアップシステムに登録しましょう。