キャリアアップシステムに登録する保有資格

建設キャリアアップシステムの技能者登録の際、保有資格として免許、技能講習、特別教育を登録します。これらを取得することと、就業日数が蓄積していくことで技能者のレベルが上がっていきます。(レベル1から始まり、最高が4)

保有資格として登録できるものは多岐にわたりますが、それぞれの業界団体が設定しているレベルを上げるために必要となる保有資格はその中のごく一部です。例えば鉄筋工の場合、クレーンを使って鉄筋を持ち上げる必要があることから玉掛技能講習が必須の資格となっています。

「免許」

ここでいう免許とは、建設業の専任技術者になれる国家資格、技能検定のほか、発破技師、クレーン・デリックの運転士免許などを含みます。

また、建設業経理士や不動産鑑定士など現場以外での業務のための資格も登録できる保有資格の対象になっています。

例えば鉄筋工の場合、クレーンに鉄筋を吊り下げる作業は玉掛の技能講習、特別教育保有者が行うことができますが、クレーンを運転するためにはクレーン・デリックの運転免許が必要になります。

クレーン・デリック運転免許のカリキュラム

  • 実技教習終了後各技術センターが実施する学科試験に合格する必要があります。落ちてしまった場合も1年間の間は再受験可能です。
  • 最短で6日で受講できます。内容は学科が15時間、合図が1時間、実技が8時間です。

「技能講習」と「特別教育」

労働安全衛生法では、一定の危険有害な業務に就く場合、「免許」の取得や「技能講習」「特別教育」の実施を義務付けています。

「技能講習」は講習終了後に試験があり、講習内容を理解しているかが問われます。「特別教育」は「技能講習」と異なり試験はありません。特別教育に比べ技能講習の方が講習の内容は難しくなっています。

例えば鉄筋工の場合、レベル2に上がるためには玉掛技能講習が必須になります。

クレーンの先に荷物をつけたり外したりする作業を「玉掛」と呼びますが、制限荷重が1t以上のクレーンで行う場合は技能講習、制限荷重1t未満のクレーンで行う場合は特別教育が必要になります。

特別教育は元請の会社内で受けることも可能ですが、技能講習は登録された教育機関でしか受けることができません。

また、技能講習の方が講習にかかる費用、時間の負担が大きくなっています。

技能講習の方がより難易度が高く、その分つり上げできる重量の制限がなくなっています。

玉掛技能講習のカリキュラム

3日にわたって講習を行います。

  • 1日目 学科7時間
  • 2日目 学科2時間 修了試験
  • 3日目 実技7時間 修了試験

学科は関係法令やクレーン、デリックなどについての学習をし、実技試験では実際にクレーンを使用して安全に作業をする手順を学習します。2日目と3日目には修了試験がありますが、事前に勉強しなくても当日しっかり講習を聞いていれば受かる難易度です。講習に遅刻してしまうと問答無用で不合格になってします場合がありますので注意しましょう。

玉掛特別教育のカリキュラム

2日間にわたって講習を行います。

  • 1日目 学科5時間
  • 2日目 実技4時間

技能講習とは異なり修了試験はありません。

学科は関係法令やクレーン、デリックなどについての学習をし、実技試験では実際にクレーンを使用して安全に作業をする手順を学習します。

 

 

今回は鉄筋工を例に鉄筋を持ち上げるために必要となる クレーン・デリック運転免許 玉掛技能講習 玉掛特別教育 についてご説明しました。 現場ではクレーン・デリック運転免許は重要な資格ですが、技能者レベルを上げるために有効な資格は玉掛技能講習のみとなっています。このように現場で必要な資格とレベル判定に必要な資格は必ずしも一致しません。技能者レベルを上げたいと思う方は各業界団体が設定している資格のリストを確認して、必要な資格を取得するようにしましょう。

 

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